CBAM 該当性・コスト試算ツール
CBAM の確定的かつ財務上拘束力を持つ段階は2026年1月1日に始まりました。登録・報告・支払いを行うのは供給者ではなく EU の輸入者ですが、輸入者の申告は供給者だけが持つデータ — 生産ルート、内包排出量、ミル証明書 — に基づいています。ステンレスワッシャーは CBAM 附属書I(Annex I)に記載されている CN 7318 に分類されるため、EU への輸入は2026年1月1日以降 CBAM 証書の義務を負っています。2026年以降は直接排出のみが算入され、年間正味重量50トン未満の輸入は CBAM の対象外です。本ツールは、双方が予算を組むために必要な数値を試算します。2026年の輸入については、現実的な基礎は欧州委員会のデフォルト値であるため、本計算ツールではワッシャーに関する中国の公式デフォルト値を自動入力できます。
このツールと合わせてご利用いただける関連ツール:ワッシャー輸入者向け CBAM 詳細解説では規制の詳細を、重量計算ツールでは寸法と数量のみが分かっていてキログラム重量が不明な場合の正味重量を確認いただけます。
第1部 — 少額免除(デミニミス)該当性チェック
50トンの閾値は、そもそも CBAM が適用されるかどうかを決定します。これはワッシャーだけでなく、年間の CBAM 対象輸入品すべてを通算して判定されます。
注:水素および電力の輸入は、この少額免除の計算対象から完全に除外されます — これらは別枠で扱われます。50トンという閾値自体はオムニバス簡素化パッケージにより導入された政策上の設定であり、見直しや変更の可能性があります。恒久的なものと見なさないでください。
第2部 — CBAM 証書コストの目安
これは単純な排出量×価格の掛け算ではなく、EU が実際に定めている計算式に沿ったものです。ベンチマーク控除と CBAM 係数はいずれも支払額を減少させる要素であり、これらを省くとコストを大幅に過大評価することになります。
公式のコスト算定式(輸入品1トンあたり):
[ 特定 CO2 排出量 − ( ベンチマーク × CBAM 係数 ) ] × 証書価格 − 原産国ですでに支払った炭素価格
出典:実施規則(EU) 2025/2620。同規則では、ベンチマークに、欧州委員会が公表する部門横断的補正係数(CSCF)も乗じることになっていますが、本ツールでは1を使用しています。
これは予算組み用の目安試算であり、申告用の数値ではありません。申告額は、生産者の検証済み施設レベルデータ、または該当する8桁 CN コードと原産国に対応する欧州委員会の公式デフォルト値に基づく必要があります。欧州ファスナー流通業者協会(EFDA)は、2026年の輸入で検証済みの実測データを使用できる可能性は極めて低いとみており、2026年は大半の輸入者がデフォルト値で申告することになります。2026年以降、鉄鋼では直接排出のみが算入されます。これは法務・税務・税関に関する助言ではありません。
計算例:中国産ワッシャー、2026年
2026年に製造・輸入された平ワッシャー(CN 7318 22 00)1トンを、デフォルト値で申告し、2026年第2四半期の証書価格€75.28で計算した場合:
(5.011 − 1.364 × 0.975) × €75.28 = 3.681 × €75.28 ≈ 1トンあたり€277
スプリングワッシャーおよびロックワッシャー(CN 7318 21 00):(3.012 − 1.330) × €75.28 ≈ 1トンあたり€127。同じ証書価格で、平ワッシャーの数値は、割増が上がり CBAM 係数が下がるため、2027年は1トンあたり約€314、2028年は€353に上昇します。証書価格自体も変動します。
1個あたりに換算すると、ステンレスの DIN 125 M8 ワッシャーは約1.85 gなので、1トンあたり€277は1,000個あたり約€0.51です。M12(6.34 g)では1,000個あたり約€1.76です。その他のサイズの単重はワッシャー重量計算ツールでご確認いただけます。
参考:上記で使用した数値
| CN コード | 製品 | 公表値 | 2026年(+10%) | 2027年(+20%) | 2028年以降(+30%) |
|---|---|---|---|---|---|
| 7318 22 00 | ワッシャー:平、フェンダー、角穴 | 4.555 | 5.011 | 5.466 | 5.922 |
| 7318 21 00 | スプリングワッシャーおよびその他のロックワッシャー | 2.738 | 3.012 | 3.286 | 3.559 |
| 年 | 2026 | 2027 | 2028 | 2029 | 2030 | 2031 | 2032 | 2033 | 2034 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| CBAM 係数 | 0.975 | 0.950 | 0.900 | 0.775 | 0.515 | 0.390 | 0.265 | 0.140 | 0.00 |
| ルート / 工程 | ベンチマーク(tCO2e / t) | 適用範囲 |
|---|---|---|
| ルート(C):高炉と転炉による炭素鋼 | 1.364 | デフォルト値で、そのデフォルト値がルート(C)と明示されている場合に適用。中国のワッシャーのデフォルト値はいずれもこれに該当します。 |
| ルート(D):直接還元鉄と電気炉による炭素鋼 | 0.475 | デフォルト値で、そのデフォルト値がルート(D)と明示されている場合に適用。 |
| ルート(E):スクラップを電気炉で製鋼した炭素鋼 | 0.066 | デフォルト値で、そのデフォルト値がルート(E)と明示されている場合に適用。 |
| ワッシャー製造工程(実測データ使用時) | 0.038 | 検証済みの実測データを使用する場合に、各前駆物質(コイルとその前段の鋼材)のベンチマークに加算されます。単独では使用しません。 |
| 年 | 2026年 | 2027年 | 2028年以降 |
|---|---|---|---|
| 割増、鉄鋼 | +10% | +20% | +30% |
デフォルト値か実測データか。2026年の輸入では、デフォルト値が現実的な基礎です。2027年以降は、輸入者は生産者の検証済み実測値を代わりに使用できますが、ステンレスワッシャーの場合、それが自動的に低くなるとは限りません。実測値は、ステンレス鋼に使われるフェロニッケルやフェロクロムを含むコイルの内包排出量に、打抜きスクラップを含むワッシャー1トンあたりのコイル使用量を乗じて算出されます。ミルによって、ワッシャーのデフォルト値を上回ることも下回ることもあるため、検証費用を支払う前に両者を比較してください。
第3部 — EU バイヤーから求められる情報
EU のワッシャー輸入者に供給している場合、これが実務上のチェックリストです — 輸入者が CBAM 申告やサプライヤー審査プロセスを開始する際に求められる書類とデータ項目です。
- 1CN コードと出荷ごとの正味重量:平ワッシャー、フェンダーワッシャー、角穴ワッシャーは 7318 22 00、スプリングワッシャーおよびロックワッシャーは 7318 21 00。商業書類にキログラム単位で記載。
- 2原産国と生産日:輸入年より前に製造された製品については、生産日によってどの年の割増が適用されるかが決まります。
- 3化学成分付きミルテスト成績書:EN 10204 3.1 により、コイルを特定の溶解ロットまで遡って追跡し、材質グレード、Cr・Ni 含有量、コイルの製造国を記載。
- 4ワッシャー1トンあたりのコイル使用量:打抜きスクラップを含む。輸入者が実測データを使用したい場合にのみ必要です。
- 5検証済みの施設レベル排出量:鉄鋼では直接排出のみが算入されます。実際には、このデータはコイルのミルから取得し、認定検証機関による確認を受ける必要があります。ワッシャーの打抜き工程自体は CBAM のシステム境界の外にあります。
- 6CBAM レジストリでの事業者登録:EU 域外の生産者にとっては任意です(Regulation (EU) 2023/956 第10条)。これにより、検証済みデータを輸入者の申告に直接共有できます。
- 7原産国で支払った炭素価格:実際に支払われ、その証拠がある場合にのみ控除可能です。中国産の製品については、現時点では事実上ゼロです。
HUIHUI が提供できるもの:すべての出荷書類に記載する CN コードと正味重量、生産日、自社のハンディ蛍光X線分析計で確認した材質、ご要望に応じたコイル使用量の数値です。当社の打抜き工程は CBAM の対象範囲外で、問題になるのはコイルを製造した製鋼所の排出量です。製鋼所の証明書や排出量データは入手できないため、当社のワッシャーは欧州委員会のデフォルト値で申告してください。上の計算ツールが入力するのもこの値です。
EU 輸入者にとっての主要な日程
| 日付 | 内容 |
|---|---|
| 2026年1月1日 | 確定期間が開始。年間50トンを超える CBAM 対象品を輸入するには、認可申告者のステータスが必要です。 |
| 2026年10月上旬 | 欧州委員会が2026年第3四半期の証書価格を公表。第4四半期は2027年1月上旬に続きます。 |
| 2027年2月1日 | 共通の中央プラットフォームで CBAM 証書の販売が開始。 |
| 2027年以降の各四半期末 | 申告者は、その年のそれまでの輸入の内包排出量の少なくとも50%に相当する証書を保有する必要があります。 |
| 2027年9月30日 | 2026年に輸入された製品についての、初回の年次 CBAM 申告と証書の提出。 |
| 2028年1月1日(提案) | CBAM の下流の鉄鋼・アルミニウム製品への拡大の可能性。ワッシャーはすでに対象です。この拡大が影響するのは、ワッシャーを含む製品の輸入者です。欧州議会と理事会の間で交渉が続いています。 |
十分な数の証書を提出しなかった場合、インフレ調整の対象となる CO2e 1トンあたり€100の罰金が科され、不足する証書は引き続き提出しなければなりません。
よくある質問
ワッシャーはすでに CBAM の対象ですか?
はい。ワッシャーは CN 7318 に分類され、これは Regulation (EU) 2023/956 の附属書I(Annex I)に記載されているため、輸入者は2026年1月1日以降に輸入されるワッシャーの内包排出量について CBAM 証書が必要です。平ワッシャー、フェンダーワッシャー、角穴ワッシャーは 7318 22 00、スプリングワッシャーおよびロックワッシャーは 7318 21 00 です。これとは別に、欧州委員会は2025年12月に、2028年から CBAM を下流製品へ拡大することを提案しました。理事会は2026年6月12日に、欧州議会は2026年9月15日にそれぞれ立場を決定しており、最終的な条文は引き続き交渉中です。この拡大は鉄鋼を含む製品に関するものであり、ワッシャー自体に関するものではありません。2026年以降、鉄鋼では直接排出のみが算入され、年間50トン未満の輸入者は CBAM の対象外です。
CBAMでワッシャー1個あたりいくら上乗せされますか?
2026年のデフォルト値と2026年第2四半期の証書価格€75.28で計算すると、平ワッシャーは1トンあたり約€277です。ステンレスの DIN 125 M8 ワッシャーは約1.85 gなので、1,000個あたり約€0.51、M12(6.34 g)では1,000個あたり約€1.76になります。対象品の輸入が年50トン未満の輸入者は負担がありません。デフォルト値の上乗せ率が上がるため、2027年と2028年は金額が増えます。
負担するのは輸入者ですか、供給者ですか?
EU の輸入者です。輸入者は認可 CBAM 申告者として登録し、年次申告を提出し、CBAM 証書を購入・提出します。HUIHUI のような EU 域外の製造業者には CBAM の支払義務はありません。ただし、輸入者の申告には製造業者から提供される内包排出量データが必要となるため、財務上の義務はなくても、供給者には実務上のデータ提供の役割があります。
中国産ワッシャー1トンあたり、CBAM でいくら上乗せされますか?
公式デフォルト値と2026年第2四半期の価格€75.28で計算すると、2026年に輸入される場合、平ワッシャー(7318 22 00)は1トンあたり約€277、スプリングワッシャーおよびロックワッシャー(7318 21 00)は1トンあたり約€127です。計算式は(10%の割増を加えたデフォルト値 − 1.364 × 0.975)× 証書価格です。同じ価格で、平ワッシャーの数値は2027年が約€314、2028年が€353です。
現在の CBAM 証書価格はいくらですか?
tCO2e あたり、2026年第1四半期は€75.36、2026年第2四半期は€75.28です。2026年第3四半期の価格は2026年10月上旬に公表される見込みです。2026年を通じては、価格は各四半期の EU ETS オークション価格の平均で、2027年以降は週次で公表されます。2026年の輸入に対する証書は、2027年2月1日から購入できます。
ステンレスワッシャーのデフォルト値は異なりますか?
いいえ。ワッシャーの CN コード 7318 21 00 と 7318 22 00 には、材質グレードに関係なく国ごとに1つのデフォルト値があり、中国のデフォルト値はいずれもルート(C)、すなわち高炉による炭素鋼で算出されています。フェロニッケルとフェロクロムを使って製造されるステンレス鋼は、それより多くの内包排出量を持つ場合があるため、ステンレスワッシャーの検証済み実測値がデフォルト値より低くなるとは限りません。
CBAM コストを下げるにはどうすればよいですか?
2026年の輸入では、打てる手は限られます。現実的であれば年間50トン未満に抑えること、そして各ロットの生産日を保管しておくことです。輸入年より前に製造された製品は、その前の年の低い方の割増を使用できるためです。2027年以降は、検証済みの実測データでデフォルト値に代えることができますが、特にステンレスの場合は、先に比較してください。ベンチマーク控除は申告の中で適用されます。原産国で支払った炭素価格は、実際に支払われ、その証拠がある場合にのみ請求額を減らします。中国産の製品については、現時点では事実上ゼロです。
HUIHUI はどのようなデータを提供できますか?
すべての出荷書類に記載する CN コードと正味重量、生産日、自社のハンディ蛍光X線分析計で確認した材質、ご要望に応じたコイル使用量の数値です。当社の打抜き工程は CBAM の対象範囲外で、問題になるのはコイルを製造した製鋼所の排出量です。製鋼所の証明書や排出量データは入手できないため、当社のワッシャーは欧州委員会のデフォルト値で申告してください。上の計算ツールが入力するのもこの値です。
免責事項:本ツールは調達・貿易実務者向けの一般的な背景情報であり、法務・税関・規制に関する助言ではありません。CBAM の規則、実施規則、証書価格、対象品目リスト(附属書I)は随時変更されます。本ツールで使用している数値(少額免除の閾値、ベンチマーク排出係数、証書価格)は上記の更新日時点のものであり、閲覧時には最新でない場合があります。コンプライアンスや予算に関する判断を行う前に、資格を有する税関アドバイザー、CBAM コンサルタント、または所轄当局に最新の要件と数値をご確認ください。
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